歯周補綴
歯周疾患もまだ初期のうちはプラーク・コントロールおよびスケーリング、ルートプレーニングを徹底しあとはメインテナンスを定期的に続けることで良い状態をキープできます。が しかし中等度~重度の歯周疾患になると殆どの残存歯の歯周ポケットは4~5mmを超えどんなに熱心にブラッシングをしても見かけ上の歯ぐきはピカピカになっても歯周ポケット内の細菌はあいかわらず元気なままです。当然 手探り状態でのスケーリング、ルートプレーニングも(どんなにトレーニングをつんだベテラン歯科衛生士でさえ)完璧な結果をだすことは難しくなります。そこで 確定的外科処置として 歯周外科を行うことになるわけです。歯周外科は明視野(はっきりと直接見える状態)で処置を行いますので確実にピッカピカにできるわけです。
次に問題になるのは歯牙の動揺です。中等度~重度の歯周疾患の場合、歯槽骨の吸収(歯の植わっている骨が破壊され溶けてちびている状態)が進んでいる為 当然生理的な動揺を遙かに超えてグラグラと動く(ゆれる)わけです。棒くいの3分の2が土の中に埋まっているのと、3分の1しか埋まっていないのを想像して比べてみてください。
奥歯がグラグラの状態でギュッと噛みしめたらどうなるでしょう。強大な咬合力(噛み合わす時にかかる力)に奥歯は悲鳴をあげます。食事の時は、食べ物をすりつぶすために側方力も加わります。土の中に3分の1しか埋まっていない棒くいを横に向かって蹴り続ければ、棒は倒れます。
つまり 歯周疾患の患者様の治療はつきつめれば
*炎症のコントロール
*力のコントロール
の この2点に集約されるわけです。
お口の中のどこか一部分だけが歯周疾患になっている方のほうが珍しく、ほとんどのケースでは全顎的なアプローチが必要になってきます。(ここで誤解なきよう一言 申し上げておきます。ぐらぐらになったら抜くだけでいい、腫れたところを切開して膿を出すだけでいい、とお考えの方は、この先はお読みにならなくても大丈夫。私たちは、対症療法でもきっちりと処置いたします。)
つまり 歯周病でかなりの歯を抜かなきゃならないよ、と どちらかの先生に言われたとしても 私たちなら抜かずにここまでやりあげます。当然 手間も暇もかかります。そして患者様の協力がもっとも必要となります。それでは 実際の症例をご覧頂きながら解説させていただきます。
上記の写真の左は、初診時のお口の状態です。
歯周ポケットは 5~8mm と深く、歯並びは乱れ、奥歯のかみ合わせも崩れてきています。
初期治療で 歯石除去 歯ブラシの改善を行いました。
その後、再評価です。
保存不可能な歯の抜歯、保存可能な歯の歯周外科
その後の補綴を行った写真が右のものです。
歯茎の色合いまで変わってきているのがお分かりだと思います。
患者様のお話だと『初めて歯周外科を奨められた時は怖かった』とのことですが、
『今は当時のむずがゆい歯茎の不快感がなく、快適に過ごせてよかった』とお喜びです。
『今から思えばもっと早い時期に治療を行っておけばよかったのに』
と少し後悔をしていますとの事です。
・歯をきれいにできる状態にする
・歯ブラシのできるきれいな歯並び
・歯周ポケットが適正な状態である
・奥歯 前歯 全体でしっかりと噛めるようにする
・奥歯の噛み合わせをしっかりと作る
・噛み合わせのバランスを整える
歯ブラシをすればその効果は必ず出てきます。ただし歯ブラシの効果が出なくなるまで悪くなってしまった方には、歯石除去だけではなくそれなりの下準備が必要になることもご理解ください。
そうしなければ、一本ずつ歯を抜いてゆくだけの処置になってしまいます。
一朝一夕には全ての解決にはなりませんが、基本を押さえれば歯周病でお困りの方にも素敵な笑顔がよみがえる事になります。